3Dプリンター利用ガイド: 本格検討編

その他製造業全般における、試作、治具、最終製品における3Dプリンター活用

自動車業界や航空宇宙業界でも活躍の場を広げる3Dプリンター。もちろんそれ以外の分野においても様々な形で活用が広がっている。義肢の製作や心臓モデルの製作などはニュースに取り上げられることも多く、一般からの注目度も高い分野だ。ここでは、ニュースなどではあまり扱われない、自動車業界や航空宇宙業界以外の製造業分野における3Dプリンターの活用事例を紹介する。

 

様々な分野に広がる3Dプリント品。最終製品や治具、試作まで

最終製品として使われる3Dプリンター製品

サービスパーツとして3Dプリンターを活用したのが、マンションの改修や点検を行っている株式会社ユニテックだ。ユニテックがマンションの改修工事を行った際、窓サッシが老朽化しておりパーツを交換する必要があった。しかし古いサッシであったためサービスパーツの生産は終了しており部品を入手することができなかったという。そこでユニテックは3Dプリンターを利用した出力サービスを行っているリコーに依頼。図面しか残っていなかった樹脂製のサービスパーツの製作を行った。

必要とするパーツの数も100個程度と小口であったため、金型を新たに製作した場合に比べ費用を抑えることが可能だったという。またパーツの製作自体も依頼から1週間程度で納品され、工期を短縮することができた。

サービスパーツとしての3Dプリンタープリンターの使用事例は家電業界にもある。リコーのデジタルカメラGR Digital IIIおよびGR Digital IVのキャップリングも3Dプリンターによってサービス品が作られている。生産終了にともない、部品を作る金型も破棄されてしまったが、3Dプリンターで製造することによりユーザーからの求めに応えることが可能になっている。

また株式会社金星が製作した、熱中症対策用のパーソナルクーラー「コンパIIS」も3Dプリンターによって製作されている。コンパIISはリュックのように背中に背負った本体からホースを通じて衣類の中に冷風を送り込む装置だ。そのため作業者に負担をかけないよう軽量化が求められる。コンパllSの製作には、HP社のJet Fusion 3D 4200が使われた。

3Dプリンターを使用することで射出成形では不可能だった形状も製作可能となり、中抜きの中空構造やパーツの一体化により軽量化を実現。さらに金型を必要としないことで、金型製作コストや輸送コストを削減。全体でのコストを1/2~1/3に抑えることができたという。

3Dプリンターの特長を生かしたものづくり

3Dプリンターを使うことで金型を必要としないケースが紹介されることは多いが、金型を3Dプリンターで製作する事例もある。Stratasys社は従来の3Dプリント品に比べ熱や圧力に強いデジタルモールドという技術を開発。従来の樹脂製造や金属プレスに使われていた金型を3Dプリンターによる樹脂に置き換えることに成功した。

製品自体を3Dプリンターで製作する場合と異なり、従来と同じ材料が使えるため難燃グレードなどの取り直しが必要ない他、ペットボトルのような薄肉の製品を成形する際に、材料の違いによる強度の差が出ず、より制度の高い試作を行うことが可能だという。

また金属の型を削り出すのに比べ、コストはおよそ1/6、大きさにもよるが2~5時間程度で型を作ることができる。金属の型にくらべるとやや強度は劣るが、少量の生産や試作などの場面で活躍しており、子供用玩具トミカの試作にも使われているという。

工場で使われる治具を3Dプリンターで製作する事例も増えている。ラインで使われる治具は、設備や環境、工程によって多種多様かつ最終製品と異なり生産数が少ないという特徴がある。部品や製品に合わせた複雑な形状が求められ、さらにラインの変更や開発スケジュールに合わせた短納期での製作が求められる。そのため3Dプリンターの強みを活かしやすいのだ。部品トレイや組み立て治具、搬送治具など、すでに多くのものが作られている。

3Dプリンター活用による時間の短縮

試作分野でも3Dプリンターは広く活用されている。Stratasys社では3DプリンターJ750とVeroFlexという材料を組み合わせることによりメガネフレームの試作を行っている。カラフルな柄や高精度の造形により、よりリアルな試作を実現するだけでなく、落下試験や摩耗試験などの機能試験にも対応可能な造形が可能だ。もちろん試作にかかる期間も、従来は15ヶ月かかっていたものを8週間にまで短縮した。これにより、刻々と変化するトレンドに遅れないオンデマンドのメガネフレーム開発が可能になった。

また前述のパーソナルクーラー「コンパllS」も最終製品だけでなく、試作の段階から3Dプリンターを活用している。従来であれば試作にかかる期間は2~3週間。仮の金型を用意して成形を行う場合には3~4ヶ月かかっていたが、3Dプリンターを活用することにより1~2日に短縮することができるようになった。

 

まとめ

3Dプリンターはすでに様々な業界で広く使われるようになっている。特に治具工具や試作部門での活用事例は多く、また最終製品でも自転車競技用のサドルやヘルメットなど、ユーザーカスタマイズ性の高い分野やサービスパーツなどを皮切りに3Dプリンターを活用する事例は増えている。多様化するユーザーニーズや試作コストの削減、開発期間の短縮化など、3Dプリンターのメリットが活きる場面はさらに増えていくだろう。

 

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