3Dプリンター特集2: 本格検討編

自動車業界で活躍する3Dプリンター製治具・工具

3Dプリンターの高性能化や材料の多様化にともない、3Dプリンターの利用範囲は大きく広がっている。かつては3Dプリンターというと試作分野での利用が主だったが、現在ではエンドユーザーの手に渡る最終部品や治具・工具分野での利用も広がっている。治具・工具分野での利用例や利点などを紹介する。

 

広がる3Dプリンターの可能性。治具・工具の造形も可能に。

3Dプリンターで作る治具

3Dプリンター製の治具は、BMWなどの主要自動車メーカーでも既に利用が始まっている。BMWでは自動車のフロント部分にエンブレムを取り付ける際に使用する治具を3Dプリンターで製作した。この治具は、作業者が左右のハンドルを両手で持って使用する。従来はアルミなどの金属製の板材やパイプなどを組み合わせて作っていたが、3Dプリンターによる樹脂製に変更した。これにより治具の重量を従来の1/4ほどまで削減することができた。材料が金属から樹脂に変わったことに加え、強度的に必要とされない部分を中抜きするような自由度の高い設計が可能になったためである。さらに、人間工学に配慮された複雑な曲線形状が実現され、従来のような金属製の治具に比べ作業者の負担は大きく軽減された。

3Dプリンターで作る砂型

3Dプリンターで治具・工具を作る動きは日本国内でも始まっている。まだ量産向けの工具ではなく試作部品を作る工具としての利用例ではあるが、ダイハツでは鋳造用の砂型を3Dプリンターで製作している。対象とするのはエンジン部品などに使われるアルミ部品や鉄製部品の砂型。従来、砂型は木型や金型を作製し、そこに砂を押し込んで製作されていた。つまり砂型で試作品の鋳造を行うためには、砂型を作る型、砂型と2つの製造ステップを踏まなければならず、試作期間が長期化するなどの課題を抱えていた。特にエンジンなどの部品では中子という、中空構造を作るための鋳型が必要になることもある。入り組んだ中空構造を実現するためには、鋳造後に崩して排出することのできる砂型は必要不可欠であり、金属型や木型で代用することもできない。そこでダイハツでは砂型を3Dプリンターで製作する技術を開発した。

これにより従来は1ヶ月以上を要していた砂型の作製期間を5時間程度にまで短縮することができた。さらに砂を特殊な素材でコーティングすることにより、砂のリサイクル率100%も達成。コストの低減だけでなく環境への負荷も改善し、今後は量産で利用することも視野に、さらなる研究を進めていくという。

 

3Dプリンターで治具・工具を作るメリット

試作分野もそうだが、実は治具・工具分野も3Dプリンターの利点を活かしやすい分野である。主な理由は次の3つだ。

1.量産品と異なり、少量多品種や一品モノを求められることが多い
2.人間工学に考慮したものや、部品の隙間を通す、曲線に沿って支えるなど複雑な形状を求められることが多い
3.製作期間や予算が限られていることが多い

他には、データが残っていれば再生産が容易であることや、データを送信することで海外の工場でも全く同じ治具を製作できることなども3Dプリンターで治具・工具を製作する利点として挙げることができる。


 

まとめ

3Dプリンターの課題として、量産や大量生産に使用するためにはコストがかかるという点が挙げられることは多い。しかし治具・工具の場合、一品一様であることも多いため3Dプリンターの利点が発揮されやすい。さらに近年ではグローバルスタンダードの導入に伴い、作業者の負担軽減や作業の標準化が求められる背景から、より使いやすい治具・工具が求められてもいる。3Dプリンターによる治具・工具の製作は、今後さらに広がっていくだろう。

 

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