3Dプリンター利用ガイド: 本格検討編

3Dプリンターイメージ

上司に言われて急に3Dプリンターを導入することになった時の処方箋(3)

業務用3Dプリンターを導入する前に、気を付けなければならないチェックポイント、今回はその第三回目(Q16~Q25)です。

3Dプリンター運用で重要な25のポイント(3)

Q16:複数の箇所や部署で運用する場合、利用時間などの運用取り決めは出来ていますか?

3Dプリンターでの造形では、造形するサイズによっては何時間もかかる場合があります。造形完了の予想時間から考慮してタイムテーブルを組み、効率よく使用する必要があります。また、材料やメンテナンスパーツの補充をどのように行うかなど、運用に関する取り決めを行っておくことで、スムーズな運用を行うことができます。高い生産能力を保ち、効率よく運用するためにも、事前に運用取り決めを関係部門間で行っておくことが重要です。

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Q17:停電時の対策は出来ていますか?

3Dプリンターでの造形では、造形するサイズによっては何時間もかかる場合があります。造形中に停電すると、多くの場合その時点までの造形物が無駄になってしまいます。無停電電源装置を設置するなどして停電対策を行っておけば、安定した造形が行えます。

 

Q18:廃棄物の処理工程は決まっていますか?

造形方法によっては、造形時に大量のサポート材を必要とする場合があります。サポート材は再利用ができず廃棄をすることになるため、廃棄方法を検討しておかなければなりません。また光造形方式の場合は、造形後に洗浄を行います。使用する素材によっては、そのまま大量に下水へ流すことができない場合もあります。廃棄場所や方法などを事前に確認、検討を行い、必要な場合は設備工事や届け出などを行います。

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Q19:保守契約の内容は決まっていますか?

装置は何らかの不具合で突然停止する場合があります。復旧のためには修理が必要で、その間の生産を助ける代替機が必要になる場合もあります。また、生産量が多い場合は、素材や消耗品などのストックも考慮しておかなければなりません。
導入業者やメーカーとの保守に関しての契約には様々な形態があります。保守に関してどの程度まで行われるのか確認をしておくことが安定運用につながります。自分たちの使用レベルにあった保守契約を結んでください。

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Q20:検収内容の確認は出来ていますか?

実際に装置が設置されたあとは、装置が正しく動くかのテスト作業とトレーニングが行われます。テストモデルの造形などベンチマークテストが繰り返され、問題がなければ検収となり、正式運用のための試用期間が始まります。
その際、どのような確認が行われ、実際にどの程度の精度が出ているのかなど、正式運用に向けてしっかりと確認しておくことが重要です。導入業者やメーカーと情報共有を行い、今後の運用に役立てましょう。

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Q21:設置環境の調整は出来ていますか?

造形方式によっては空調設備や水設備などの工事が必要な場合があります。それらの工事ができる環境なのか事前に調べておく必要があります。また、動作中の音や、匂い、温度などの問題も発生する場合があるので、気密性の高い環境を用意するか、事前にそれらの影響が起きないか調査しておく必要があります。

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Q22:オペレーターには、操作だけなく、メンテナンスも含めた教育をきちんと出来ていますか?

3Dプリンターの運用では、造形用のデータを作る人と、装置の操作をする人と、それらを統括する運用管理者の3つの立場の人が必要となります。特に装置の操作を行うオペレーターは、3Dプリンターの基本的な操作、調整ができることはもちろん、ある程度の日々のメンテナンスが行える必要があります。さらに、3Dプリンターで使用する材料やメンテナンスパーツの在庫管理、付帯設備の運転や調整管理なども行う必要があります。これらの教育をしっかり行って初めて安定した運用が可能となることを認識しておきましょう。

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Q23:使用する材料によっては消防署や労基署への届け出が必要です。防火や防塵など作業環境に対する届け出は済んでいますか?

粉末焼結積層造形方式では、粉塵爆発などが起こる可能性もあるため、防火責任者を決めて、事前に所轄の消防署へ申請をして検査を行わなければならない場合があります。さらに、作業者の安全確保のため、労働環境に関する手続きも、労働基準監督署に対して行う必要もあります。手続きには時間がかかることもあるので、事前にどのような手続きが必要で、手続き完了までどの程度時間がかかるのか把握しておく必要があります。

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Q24:設置を想定している環境で、期待したクオリティが保てると思いますか?

設置後に運用面でうまくいかず、期待通りの生産能力を発揮できていないということは往々にして起こりえます。無計画な導入や、操作に不慣れで思い通りの造形ができないなど、運用面で失敗した事例を持つ会社は少なくないようです。運用管理者を決めて計画を立て、設計者やオペレーターの教育を良く行い、安定運用を行えるように対策を行うことが必要です。疑問点があれば、事前に専門家やメーカーなどに相談し、全て解消しておくのが良いでしょう。

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Q25:3Dプリンターの導入効果について、社内へ定期的な報告は行っていますか?

3Dプリンターは新しい加工方法なので、何ができるのかまだよくわからない人も多くいます。逆になんでも作れると誤解している人もいます。また3Dプリンティングの世界は技術革新のスピードが速いため、大幅に性能がアップした新機種や革新的な機能が従来の工作機械よりも短期間で付加されるケースもあります。導入効果がはっきりと確認できた時、2台目、3台目の導入や新機種の導入をスムーズに進めることができるよう今までの加工との違いや、導入することにより何が変わったのかといった点について、社内へ定期的に報告しておきましょう。

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失敗しない導入のために

さて、25のチェックポイントをご覧いただきましたが、いかがでしたでしょうか?このチェックポイントは大手3Dプリンターメーカーの3Dプリンティングについて担当されている方に長時間ヒアリングさせていただき、まとめたものです。

これを元に自分なりのチェック表などを作成して、導入計画書をまとめると、後で問題が発生するリスクを最小限に抑えられるでしょう。導入を成功させて新たな生産ラインを確立し、会社の売り上げ拡大に貢献できれば、上司もきっととても喜んであなたの評価もぐっと上がると思います。がんばってください!