Prusa Research 3Dプリントが拓く新しい義手の未来 ― Victoria Hand Project を動かすPrusaの力(Prusa Research)
3Dプリント技術を活用した非営利団体「Victoria Hand Project」が、低コストで高機能な義手を世界各地に届けている。現地での安定した製造を支えるのはPrusaのオープンソース3Dプリンター。信頼性と普及のしやすさを兼ね備えたPrusaだからこそ、持続可能な医療支援が可能になった。
高性能ながら高額で入手が難しい義手。カナダ発の非営利プロジェクト「Victoria Hand Project」が、3Dプリントを活用して世界中に低コストで高機能な義手を届けている。従来は数千ドル・数週間を要した義手が、Prusaの信頼性ある3Dプリンターにより、数日・150ドル程度で提供可能となった。テクノロジーが社会課題を解決する力を示す代表的な事例である。

3Dプリントが変える義手の常識
これまで義手は高額で、完成までに時間もかかるのが当たり前だった。患者が実際に装着できるまでには、採寸や加工、輸送など多くの工程があり、数週間から数か月を要した。費用も数千ドル単位にのぼり、必要とする人すべてに行き渡る状況にはほど遠かった。
この課題に挑戦したのが、カナダ・ビクトリア大学から生まれた Victoria Hand Project(VHP) である。彼らは3Dプリント技術と専用ソフトウェアを組み合わせることで、従来の制約を一気に突破した。患者の腕をスキャンし、自動的に義手のソケット形状を設計する。CAD作業はわずか数分で完了し、そのまま3Dプリンターに出力できるデータとなる。数日以内に現地で義手を完成させ、装着まで持っていくことが可能になった。

Prusaプリンターが支える現地のものづくり
この革新的な仕組みを現場で支えているのが、Prusaのオープンソース3Dプリンター である。特に「Original Prusa XL」は、大型の肘上ソケットを一晩(約9.5時間)でプリントできる造形サイズと安定性を兼ね備えている。自動キャリブレーションや停電復旧機能「Power Panic」により、電力環境が不安定な地域でも確実に稼働する設計となっている。
現地技術者はPrusaプリンターをすぐに扱えるようになり、必要な部品を安定して出力できる。さらに、導入コストが比較的低いため普及性にも優れ、ウクライナ・リヴィウのクリニックをはじめ、エクアドルやカンボジア、ウガンダなど世界各地で同じ仕組みを展開できている。

Prusaプリンターが支える現場力
Original Prusa XLは、医療現場で求められる大型造形・高精度・安定性を兼ね備えた3Dプリンターである。肘上ソケットのような大きな部品も一晩で出力でき、患者が義手を装着するまでの時間を大幅に短縮した。
自動キャリブレーションによる精度の安定や停電復旧機能による信頼性により、電力が不安定な地域でも確実に運用可能。モジュール式構造とマルチツール機能によって素材やツールの拡張も容易で、義手の改良や応用研究にも柔軟に対応できる。現場では必要な部品を短時間で出力し、その場で修理やカスタマイズを実現。24時間稼働にも対応し、迅速かつ持続的な医療支援を可能にしている。

オープンソースと透明性が生む信頼
Victoria Hand Projectの活動はオープンソースの思想を基盤としている。設計や製造方法を公開し、世界中の研究者やメーカーが改良に参加できる仕組みを整えた。Prusaもまたオープンソースを理念とし、ユーザーがプリンターやソフトウェアの仕組みをすべて確認できる透明性を重視している。この共通した価値観が、医療分野での強い信頼にもつながっている。

まとめ
Victoria Hand Projectは、3Dプリントが社会課題を解決する強力な手段であることを実証した。高額・長納期という従来の常識を覆し、わずかな費用と時間で義手を必要とする人々に届けることを可能にした。その未来を支えているのは、世界中で信頼を集め、普及性と安定性を兼ね備えた Prusaの3Dプリンター である。誰もが使える義手を、誰もが作れる時代へ。Prusaの技術が、その扉を大きく押し開けている。