3Dプリンター特集2: 本格検討編

製造業に迫られる解決すべき問題と3Dプリンターによる製造業のデジタル変革

コストダウン、納期短縮、人手不足、技術継承。近年の製造業では、より厳しい要求や、解決しなければ存続すら危うくなる問題が年々増えている。問題解決の方法の1つとして、3Dプリンターの活用が挙げられる。3Dプリンターは、従来の設計、製造の現場の流れを大きく変え、次世代の製造業の欠かせないアイテムになりつつある。

 

製造業に突きつけられる要求

製造業の抱える問題

製造業の抱えている問題にはさまざまなものがある。例えば、コストダウンや納期短縮の要求は昔も今も変わらない。その要求は年々厳しくなり、人手不足に加え、エネルギーや原材料価格の上昇などにより要求に応えることは難しくなっている。また、海外で大量に作られた安い製品の流入にも対抗しなければならない。

このような下請けでの頭打ちを打開するため自社製品開発を進めるが、多くの情報を簡単に入手できる顧客の嗜好の変化も依然と比べて格段に早く、開発のスピードが追い付かない現状がある。これは大企業においても同じことで、新製品を投入するサイクルは以前よりも短く、企画、設計、試作、試験、製品化といった開発の流れをより短くすることが求められている。

製造現場においても、次々に投入される新たな製品に対応するため、頻繁にラインや手順を見直したり、ミスが発生しないように治具をいくつも製作したりする必要が出てきますが、対応に時間も費用もかかるので限界がある。そもそも人手不足のため、製造現場では別のことに時間をまわすことができないばかりか、作業者一人にかかる負担も増えているため、作業環境の悪化を招き危険な状況が増しているといえる。

更に、近い未来に心配されている問題として技術継承がある。人手不足は単純に労働力が減少するだけではなく、今ある高い技術やノウハウを受け継ぐ人もいなくなる。そうなれば、同じ物、同じ品質で製品を作る事はできなくなり、その会社は存続できなくなる。別の誰かが失われた技術やノウハウを取り戻そうとしても簡単にはできない。できたとしても膨大な時間と費用が必要となる。人口減少が進むにつれてこの傾向は強くなり、製造業全体が衰退していくこととなる。

これからの製造業に求められる事

このような問題に対応するため、製造業では大きな変革が起こっている。第4次産業革命とも言われるデジタル技術を中心としたこの変革は、既にさまざまなところで動き始めている。例えば、AI、IoTの技術を使ったスマートファクトリーは、大工場を中心に広がり始めている。多数のセンサーを備えたNC、CNC工作機械から得られるデータは、インターネットを介してクラウドに上げられ、そのデータを元に生産状況や工作機械の状況を把握。更にデータをMRP、ERPといった管理システムに入れることで、現場レベルで行っていた細かいメンテナンスに至るまで、会社全体の動きとしてとらえることができる。

また、ロボットを利用することで、繰り返しの単純な作業ならば人の数倍も早く処理できるばかりか、止まることなく何時間でも続けることができるようになった。NC、CNC工作機械を使って熟練技術者の技を数値化してデータとして残すことができれば、それを工場間で共有できるだけでなく、失われる事なく半永久的に残すことができるようになる。

設計、開発の領域においてもデジタル変革は進んでいる。以前は紙の上に定規と鉛筆で描かれていた図面も、今ではCADを使って書くのが当たり前になる。近年ではCAD も2Dから3Dへと移りつつある。2DCADは平面で描いているので、基本的には紙の上に描く作業をコンピューターによって効率化したものといえる。設計の際には頭の中で完成した形に3D化しながら描く必要があり、熟練技術者でなければ難しい面がある。しかし、3D CADならば立体で描かれているので、全体を直感的にとらえることができる。熟練技術者と同じ視点で設計作業が行えるので、若手技術者の技術の向上も早くなる。

また、強度の計算や、空気などの流体に対するシミュレーションも3D CADならば利用しやすく、設計の精度を高める事も容易に出来る。近年では3Dプリンターが普及し始め、3D CADで作られたデータを実際の形として造形することもできるようになった。

人手不足や技術継承、コストダウン、納期短縮、開発速度の向上、製造現場の環境改善といった製造業の抱えるさまざまな問題の解決には、このようなデジタル技術が有効手段といえる。デジタル技術を積極的に活用することが、今後の製造業において大変重要なことになるのは間違いない。

3Dプリンターが製造業にもたらすメリット

製造業におけるデジタル技術の活用において、今最も注目されているものとして3Dプリンターが挙げられる。例えば、設計、開発領域においては、3Dプリンターを活用することで従来よりも大幅に開発時間を短くすることができる。

製品の開発では、製品を企画し、どのようなサイズで、どのような機能をつけるか仕様を決める。その仕様を元に試作設計を行い、試作品を製作して試験を実施。試験の結果を元に仕様の見直しや再設計が行われ、再び試験が行われる。試作と試験は1度で済むこともあれば何十回も繰り返されることもある。試作での試験で問題なければ次は量産となるが、ここでも量産試作と試験が行われる。これも数十回と行われることがあり、それだけ時間と費用がかかる。

ここで試作品製作に3Dプリンターを利用すれば、試作時間を大幅に減らせる。通常試作品を作る場合、設計した図面を加工にまわす。簡単なものなら数日でできるが、複雑なものならば数週間単位でかかる場合もある。3Dプリンターならば、簡単なものなら数時間で製作可能。あまり精度の必要のないものならば、設計現場に設置した小型の3Dプリンターで、3D CADで設計者がつくったデータを直ぐに造形して試すこともできる。試作時間を大幅に減らせるだけでなく、それにかかるコストも大幅に削減されることになる。

また、切削加工では作る事のできない複雑な形状を造形できるので、設計の幅を広げるだけでなく、小ロットのものならばそのまま製品化できる可能性もある。3Dプリンターは設計、開発の現場を大きく変えるデジタルツールといえる。

更に、3Dプリンターは製造の現場でも大いに役立つ。例えば、製品の加工や組み立てにおいては多くの治具を用いる。治具は消耗品なので、摩耗したり壊れたりしたら新しい物に変える必要がある。他にも、製品の一部が仕様変更となって新しい部品が発生すればそれに合わせた治具が必要だ。治具の製作も試作の際と同様に図面をつくり加工にまわすので、できあがるまでに数日かかることになる。その間、製造ラインが止まるので生産計画を見直す必要があり、大きな損害となる。3Dプリンターがあれば、簡単な治具ならば数時間で作る事ができるので、直ちに製造ラインを復旧できる。3Dプリンターは、従来の設計、開発、製造の流れを大きく変えるデジタルツールなのだ。

3Dプリンターは、うまく利用することで、より早く、より低コストを実現させ、製造業に大きなメリットをもたらすのだ。

 

まとめ

近年では数万円から買える小型の3Dプリンターが登場して、個人から研究開発現場で多く利用されるようになった。また、企業向けのハイエンドの3Dプリンターでは、金属やスーパーエンプラといったより硬い素材も造形できるようになり、切削加工では不可能な複雑な形状も造形できるので、試作レベルに留まらず、製造用装置として利用されるようにもなっている。

それに伴い、3Dプリンターによる出力サービスをおこなう施設も増えている。費用面などでいきなり導入することが難しい場合も、そのようなサービスを利用すれば手ごろな価格から3Dプリンターのメリットを受けることができる。まずは検索をして使える施設を探してもらいたい。近くに3Dプリンターが使える施設があるかもしれない。製造業のデジタル変革の波に乗り遅れることがないように、積極的な3Dプリンターの利用を勧める。

 

ShareLab おすすめ機能

こちらのページから、全国の業務用3Dプリンターが利用できる施設を探すことができます。

施設を探す

検索条件にある「その他の検索条件を追加する」のPickUp機器「3Dプリンター」にチェックを入れてご利用ください。

関連記事

まだデータがありません。