3Dプリンター利用ガイド: 本格検討編

3Dプリンター出力見本

出力サービス企業での3Dプリンター導入と活用の実際(第三回)

3Dプリンターは機械そのものも決して安価とはいえない。購入するからには十分に活用できることが望ましい。しかし実際には、3Dプリンターを購入したものの活用しきれない企業も少なくないという。購入した3Dプリンターを十分に活用するためには、出力のクセや運用コストなど、事前に確認しておくべき事項もあるだろう。愛知県碧南市で3Dプリンター出力サービスを行っている中山木型製作所にて、3Dプリンターを活用するために、購入前に知っておくべきことについて訊ねてみた。

3Dプリンターを活用するために、購入前に確認しておくべきこととは

 

1.3Dプリンター出力の難しさとは

 
テレビなどのメディアでは、どのような形のものでも簡単に作れるというイメージで語られがちな3Dプリンターだが、実際はどうなのだろうか。実は3Dプリンターでの出力も意外と工数がかかるという。まず第一に、3Dプリンターそのものの出力スピードが挙げられる。高機能で出力スピードが速い機種もあるが、条件によっては出力に時間がかかる可能性もある。

さらに造形に必要なサポートを除去する作業が挙げられる。また金属3Dプリンターで出力した場合には巣※がないか、工業用CTを用いた検査を行う場合もある。映画などのフィクションの中では、出力したものをそのまま使用するシーンが描かれることもあるが、実際には、出力した後に行わなければならない処理も少なくない。

また出力においても、ノウハウの蓄積は必須だ。例えば、デザインが重要な製品は形状を考慮し、積層の筋が出にくい出力方向を選ぶことで、より美しい出力品を得ることができる。さらに形状に応じてサポートが必要にならない出力方向や、サポートの後処理がしやすい出力方向を選ぶなど、効率化のためのノウハウも必要になる。
 
※「巣」とは、造形の際に意図せず出来てしまう隙間のこと
 
3Dプリンター出力見本1
 

2.3Dプリンター運用コストについて

 
3Dプリンターを運用するにあたってのコストについても訊ねてみた。3Dプリンターにかかる運用コストは、大きく分けて3種類あるという。1つは保守点検費、もう1つが材料代、さらに廃液などの処分費用だ。
保守点検費については、1年ごとに3Dプリンター本体の値段のおよそ1/8~1/10ほどかかるのが一般的だという。例えば3千万円の機械を購入した場合には、年間で300万~370万円ほどの保守点検費を見込んでおいた方がいいだろう。

さらに材料費も1パック(1kg)で6万円ほどするなど、決して安価ではない上に、材料によっては使用期限が存在する。そのため補助金などを利用して短期間に大量に材料を購入する場合には、計画的に使い切ることを考慮する必要がある。さらに3Dプリンターの種類によっては廃液が出る。廃液は産業廃棄物業者などに処分を依頼する必要があるため、その処分費用が必要になる。これはインクジェットタイプの3Dプリンターだけでなく、FDMタイプのサポート除去も同様だ。さらに種類によっては、サポートの除去に水を使用するものもあるが、このときに使用した水もまた廃液となる。

残念なことではあるが、3Dプリンターの販売会社は機械を売ることに注力し、購入後のことについてはあまり詳しく教えてもらえないケースも多いという。購入後、利用方法の研修を受ける段階になってはじめて、機種によっては24時間通電が必要だと伝えられたり、廃液の処理などについて伝えられる場合もあるそうだ。

3Dプリンターの運用コストは決して安くはないのが現実である。また前述のように3Dプリンターでの出力にかかる工数も少なくはない。そのため3Dプリンター出力サービスを実施しようと考えた場合、ビジネスモデルとしては薄利多売になる可能性が高い。広く顧客を集めることができる営業力がない場合には、安易に参入するべきではないだろう。
 
3Dプリンター出力見本2
 

3.3Dプリンター購入にあたって注意すべきこと

 
前回でも触れたとおり、高機能な3Dプリンターを所有していても、活用しきることができず3Dプリンターが休眠状態になってしまっている会社も多いという。ものづくり補助金などを利用して3Dプリンターと材料を購入しても、前述のように保守点検費や、材料の使用期限といった課題が発生する。

また3Dプリンターが繊細な機械であることを理解しておく必要もある。中山木型製作所によれば、トラブルの発見のカギとなるのは、機械を操作している人の判断だという。作動中に普段は聞かないような異音がしたり、製品が正常に作成されなかったりなどの異常を、正確に見つけることが大切だそうだ。またトラブルを回避するポイントとしては、機械の内部をしっかりと掃除することが挙げられるという。もちろん掃除をしても全てのトラブルが回避できる訳ではない。そのような場合には販売メーカーへの問い合わせが必要になる。3Dプリンターは機械や材料だけでなく部品代も高価であることが多い。そのため販売メーカーによる保守プランなどに入っておいたほうが安心して3Dプリンターを使用することができるだろう。

さらに万が一修理が必要な事態が発生した場合、修理が完了するまでの数日間は3Dプリンターを使用することができなくなる。そのため普段から緊急事態の際に協力してもらえる会社を探しておくといいそうだ。販売メーカーが自社で保有する3Dプリンターなどを使用して協力をしてくれる場合もあるので、購入の際などに訊ねておくのも1つの手となるだろう。

メディアなどで紹介される3Dプリンターのイメージや、販売会社などが伝えるプラスのイメージのみで3Dプリンターを購入するべきではないだろう。既に3Dプリンターを活用している企業などから現実的な情報を得ておくことも重要となる。

 
中山木型製作所にお問い合わせをご希望の方はこちら。
中山木型ウェブサイト

関連記事

まだデータがありません。