3Dプリンター利用ガイド: 本格検討編

光造形方式3Dプリンター

高精度で造形速度が速く、滑らかな曲線も造形可能。光造形方式3Dプリンター

光造形方式の3Dプリンターは、光を照射することで硬化する液体状の樹脂素材により造形を行う3Dプリンターだ。最も古くからある方式で、製造現場で使用されるハイエンドなものから、デスクトップの安価な装置まで幅広く普及している。光造形方式の3Dプリンターの基本的な特徴と、使用におけるメリット、デメリットを解説する。

試作やマスターモデル製作に活用、最も古く、今も進化を続ける造形方式

 

光造形方式の特徴

光造形方式は、光(UV光)により硬化する液体状の樹脂(光硬化性樹脂)を用いて立体を造形する。基本的な原理としては、プールに満たされた樹脂に対し、3Dデータに基づいて1層ずつ光を照射して硬化させることで造形していく。ステージと言われるプレート上に1層目を硬化させたら、ステージが1層分移動して次の層が硬化される。これを繰り返すことで完成品となる。造形の際には、下の段よりも大きく張り出す形状や中空構造の天井部分の下部などには、造形中に支えるためのサポート材が必要だ。

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光硬化性樹脂には、エポキシ樹脂やアクリル樹脂をベースにしたものの他に、硬化した際にABS樹脂に似た特性を持つものや、ポリウレタン樹脂に似た弾力を持つものもある。造形精度や造形速度は他の造形方式と比べて高く、複雑で滑らかな面の造形も可能だ。形状確認の為の試作、射出成形や鋳造の金型製作に用いられるマスターモデルの造形、フィギユア製作等のホビー用途など幅広く利用されている。

現在の光造形方式の3Dプリンターは、光の照射方法から大きく分けて2種類ある。1つがステレオリソグラフィー(Stereo lithography:SLA)方式。SLAでは、プールに満たされた光硬化性樹脂に上から紫外線をレーザーで照射して硬化していく。1層硬化したらステージが1段下がり、その上に次の層を重ねて硬化させて造形を行う。1980年代に開発された最も古くからある造形方式で、特許権が消滅した後には更に研究開発が進み、今も様々な装置が発売されている。

もう1つが、デジタルライトプロセッシング(Digital Light Processing:DLP)方式。プロジェクターで紫外線を下から照射することで硬化させ、1層硬化するごとにステージが上に上がり、吊り下げるように造形されていく。平面で照射しているので、サイズに係らず1層あたりの硬化時間は同じになる。低価格タイプの光造形方式3Dプリンターではこの方式のものが多く、高精度、高速造形を行うハイエンドタイプの装置まで幅広く揃う。近年では、DLPをベースとして、より高精度で高速に進化させた連続界面生産方式(Continuous Liquid Interface Production:CLIP)なども開発されている。

 

光造形方式3Dプリンターの製品例

光造形方式の3Dプリンターの代表的なメーカーと機種を以下に挙げる。

社名 代表機種名 特徴
3D Systems アメリカ ProX series 1986年にチャック・ハル氏により起業。1897年に世界で初となる3Dプリンター「SLA -1」を発売。世界で高いシェアを持つ3Dプリンターメーカー。
Formlabs アメリカ Form series 2011年にMITメディアラボの学生3名が立ちあげた企業。比較的低価格でありながら、専用ソフトウェアPreFormにより最適な造形設定が自動でできる。
EnvisionTEC ドイツ Perfactory、Vector 独自の技術により複雑な大型の部品でも高速かつ高精度、滑らかな表面状態で造形可能。
Kudo3D アメリカ Titan series 低価格、小型の装置ながらハイエンドタイプの装置にも及ぶ高精度の造形が可能。
Carbon アメリカ SpeedCell M1、M2 独自のCLIP方式(連続界面生産方式)により、驚異的な造形スピードとクオリティを実現
Sea Force 日本 DWS series 高い表面精度と低価格からハイスペックまで幅広い製品ラインナップ。メンテナンス性が高い。
シーメット 日本 ATOMm8000、4000 中型から大型の造形まで対応。

光造形方式の3Dプリンターは、1980年に基本的な技術コンセプトが日本で作られ、1987年にアメリカの3D Systemsが製品化。その後も様々な機種が開発され、幅広く普及している。近年では金型による射出成形で作られた製品と同等の品質で造形できる装置や、実際の製品に使用できるレベルの強度や耐久性を持つ部品の造形が可能な素材も開発されており、利用の幅も増えている。

 

光造形方式3Dプリンターのメリットとデメリット

光造形方式3Dプリンターのメリットとしては、他の造形方法と比較して高精度、高速の造形が可能であることが挙げられる。材料押出堆積方式では、溶解した素材を押し出すノズルの径よりも細かい形状を造形することはできないが、光造形方式で使用されるレーザーのスポット径は大変小さく、光が照射された部分だけ硬化するので微細な形状を造形する事が可能となる。その為、造形された面も他の造形方式と比べて滑らかで、より複雑な曲面が造形できる。造形速度に関しても、光硬化性樹脂は光により直ちに硬化するとともに、レーザーは高速に位置決めできるので、他の造形方式と比べて高速で造形が可能だ。DLP方式のように1層全面を硬化させる方式では、より高速な造形も可能となる。

逆にデメリットとしては、液体状の素材に光を照射して造形していくので、完成品の表面には硬化していない液体状の素材が残り、これを洗浄して落す必要がある。洗浄にはエタノールなどの溶剤を用いる必要があり、扱いに注意が必要となる。また、硬化前の液体状の素材そのものも、直接皮膚に触れると有害であるため取り扱いには注意が必要だ。それから、光硬化性樹脂はUV光を使用して硬化しているので、硬化後に太陽光などに長時間当たると更に硬化が進み、劣化して壊れやすくなる場合がある。過酷な環境で使用される実際の製品や、光の当たる場所で長期間使用するような製品に対しての利用には向いていない。

光造形方式で使用される光硬化性樹脂に関しては、年々研究開発が進み、より扱いやすくなり、硬化後の強度や耐久性も向上している。耐熱性を高めたものや、熱可塑性樹脂であるABS樹脂と似た特製を持つもの、ポリウレタン系樹脂のような弾力性のあるものも登場してきており、用途は広がりつつある。
 

ハイエンドタイプ

 

まとめ

光造形方式3Dプリンターは、他の造形方式と比較して高精度、高速で造形が可能であり、素材によっては十分な強度や耐久性を得ることができる。また、装置によっては、射出成形で形成された製品と同等の品質で造形できるので、一度に複数の製品を造形することで小ロットの生産ならば製造装置としても利用が可能となる。現状は試作や金型を製作するためのマスターモデル製作、ホビー用途に使用されることの多い光造形方式3Dプリンターではあるが、今後は実際の製品に組み込まれる部品にも利用の幅が広がる可能性がある。

光造形方式3Dプリンターは10万円を切るような簡単なものから、非常に高価で高性能なハイエンドタイプの装置まで幅広く普及している。実際に利用体験できる場所も多いので、同じモデリングデータを他の造形方式と比較して利用してみるのもいい。

 

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