3Dプリンター特集2: 本格検討編

材料押出堆積方式3Dプリンター

工業用樹脂素材の造形が可能。小型で追加の設備も不要。材料押出堆積方式3Dプリンター

材料押出堆積方式の3Dプリンターは、熱可塑性の樹脂を熱で溶かして堆積していくことで造形を行う。小型で低価格の製品が多く出ているので、試作開発の現場に限らず、個人レベルでも広く普及している3Dプリンターだ。材料押出堆積方式の3Dプリンターの基本的な特徴と、使用におけるメリット、デメリットを解説する。

小型、低価格、追加設備不要。ラピッドプロトタイピングに最適な3Dプリンター

 

材料押出堆積方式の特徴

材料押出堆積方式は、溶融物堆積方式、または熱溶解積層方式(FDM:Fused Deposition Modeling)とも呼ばれている。
溶かした熱可塑性の樹脂を細いノズルから押出し、造形用のステージ上に断面形状を1層ずつ堆積硬化していくことで目的の形を造形していく。装置が小型で、空調設備や回収処理設備などが要らず、工業製品で使用される樹脂素材を造形できるので、試作開発の現場を始め、家庭などの個人レベルでの使用も盛んに行われている。

材料押出堆積方式の3Dプリンターの基本的な構造としては、フィラメントと呼ばれる細長い樹脂素材がリール状に巻かれた樹脂素材供給部と、樹脂を溶かすヒーターを持ったノズルが備えられているプリントヘッド部で構成されている。
プリントヘッドへフィラメントが供給されてヒーターで溶融され、プリントヘッドがX、Y方向に移動して1層目の溶融樹脂を押し出したらZ方向に移動。溶融樹脂が冷えて硬化したら、その上へ同様に2層目を造形していく。この時、中空構造やせり出した梁のような形状を造形する場合には、硬化する前に落ちてしまわないように、下を支えるサポート材が同時に造形される。全ての層を造形した後は、手や工具を使ってサポート材を取り外して完成となる。

造形可能な樹脂素材としては、ABS、PC、ASA、Ultem、PA12などの工業製品で使用される耐久性、耐熱性、耐摩耗性などをもった素材の他に、PLAといった汎用プラスチックも造形可能だ。フィラメントの色を変えることで、何色かの色で作られた部品を作る事もできる。

そして、材料押出堆積方式の3Dプリンターは、主要な特許の権利が終了した2009年以降に低価格の製品が各種販売されている。更に、小型で場所をとらず、追加の設備を用意する必要がない導入の手軽さからも普及が進み、3Dプリンターによるものづくりの潮流を一気に加速させる一因にもなった。現在では数万円程度で買える機種もあり、低価格の3Dプリンターでは材料押出堆積方式が主流となっている。

フィラメント

 

材料押出堆積方式3Dプリンターの製品例

材料押出堆積方式の3Dプリンターの代表的なメーカーと機種を以下に挙げる。

 

社名 代表機種名 特徴
Stratasys アメリカ FORTUS series

Design series

1980年代後半にFDMの特許を取得。世界で高いシェアを持つ3Dプリンターメーカー。
QIDI TECHNOLOGY 台湾 QIDI1、X-ONE2、X-PRO 低価格、小型の材料押出堆積方式3Dプリンターを各種製造。デュアルヘッドタイプは造形速度が速い。
Intamsys 中国 FUNMAT series PEEK、Ultemなどの素材の造形にも対応。
Canon 日本 L-DEVO series 最大造形サイズ400㎜角を実現。エッジやアーチの造形まで美しく仕上げる。
Leapfrog オランダ Creatr HS ヨーロッパを中心に人気。設計部門での入門機、デザイン確認用などに活躍。
MUTOH 日本 Value 3DMagiX MF series 高剛性ボディとZ軸両持ちテーブルの組み合わせで高精度造形を実現。

 

材料押出堆積方式の3Dプリンターは、主要な特許の権利が終了した2009年以降に新規参入が増え、装置の低価格化が進んだ。近年では、より高耐熱、耐薬品性などに優れたエンジニアリングプラスチックの造形に対応した装置や、ノズルを複数備えて造形速度を高めた装置なども増えていて、性能も年々高くなってきている。

 

材料押出堆積方式3Dプリンターのメリットとデメリット

材料押出堆積方式の3Dプリンターを使用するメリットとしては、ABS、PCといった工業製品に使われる樹脂素材が成形できることで、製品に使われる部品と同等の強度を持った樹脂部品を手軽に造形できるところにある。樹脂部品を作る為の金型を作る必要がなく、切削では作る事ができない複雑な形状も造形可能だ。フィラメントの色も各種あるので、様々な色が重なったカラフルな部品を造形することもできる。

そしてなによりも、低価格であることと、小型で追加の設備が不要なので、手軽に導入が可能だ。開発ルームに設置して、思いついた形状を3D CADでモデリング。それをその場で直ちに造形することができる。従来の試作開発では、図面を書いたら承認を得て製作を依頼。試作部品ができあがるまでに数日。長ければ数週間かかることもある。それが机の上で、数時間から1日程度でできてしまうようになるのだ。圧倒的な速さで試作開発が進む。

逆にデメリットとしては、寸法精度が他の方式と比べて低く、樹脂が硬化する際に収縮して反りが発生することがある。1層造形するごとに樹脂を冷却硬化させる必要があるので、造形時間も長くなる。また、樹脂を重ねて硬化させているので、層と層の間が完全に密着させることが難しく、液体を入れるようなものには向かない。表面も荒くなるので、滑らかな面を求める部品にも向いていない。サポート材を1つ1つ外さないといけないので、その手間もかかる。

寸法精度に関しては、使用する樹脂素材によっては造形後に切削などの追加工することで補正することは可能だ。造形される部品そのものの精度に関しても、ノズルの位置決め精度や、樹脂の改良など年々進められているので、従来よりも向上している。造形時間に関しても年々改良が進み、短縮されつつある。なによりも、導入の手軽さに関しては他の方式よりも圧倒的に高い。思いついたものを机の上で即座に形にできるスピード感は、設計開発の速度を今までに無いほど変えることになるだろう。
 

フィラメントのセット

 

まとめ

材料押出堆積方式の3Dプリンターは、他の方式と比較して、寸法精度や造形速度、表面の仕上がり具合などで及ばない所もあるが、その性能は年々上がり最終製品を製造する現場で使用されるレベルの精度や造形速度を持つ装置もある。また、導入の手軽さに関しては圧倒的に高く、製品と同等の強度の樹脂部品が造形できるので、試作開発の速度を上げる第一歩として、積極的に利用していくべきだ。近年は製造業のデジタル化が進んでいる。
このような製造業向けのデジタルツールを使うことで、設計開発速度の向上だけでなく、これから起こるであろう人手不足や技術継承問題などに対応する力をつけることになる。

まずは材料押出堆積方式の3Dプリンターでおおよその試作品をつくり、そこから他の方式の3Dプリンターを使用してより製品に近い物をつくるというのも一つの手だ。様々な方式を試すことで、それぞれの造形方法の特性がわかり、自社の製品に合ったより有効な利用方法や、最適な機種が見えてくるだろう。

 

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