3Dプリンター特集2: 本格検討編

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自動車業界の3Dプリンター活用の現状と将来の可能性

3Dプリンターというと、まだあまり精度のよくない、レイヤーがくっきりと見える試作品を想像する人も多いかもしれない。しかし現在、3Dプリンターの高機能化や出力サービスの進歩に伴い、3Dプリンターの可能性は大きく広がっている。エンドユーザーの手に渡る最終製品すら製造可能になった3Dプリンターの現状を紹介する。

 

高性能化する3Dプリンター。自動車の最終製品としての使用例

3Dプリンターの現状

かつては3Dプリンターというと精度はあまり高くなく、どちらかというと設計された製品の形を確認するために形状試作のみに使用されるものだった。しかし近年では3Dプリンターの高性能化に伴い、その役割は大きく変化した。

最新の3Dプリンターを見てみると、高速化や精密化を掲げる3Dプリンターが数多く存在している。例えばHP社のJet Fusion 3D 4200では、従来の10倍の速度での生産が可能であると言われている。またEnvisionTEC社のPerfactory 4 LEDでは0.025mmという非常に細かいピッチでの積層が可能だ。このような高性能化を受け、形状試作だけでなく機能試験に使用する試作、さらには最終製品や治具・工具の製作ツールとしても3Dプリンターの使用範囲は広がっている。このような動きはDDM(ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング)と呼ばれ、アメリカを中心に広がりをみせている。

最終製品に使われる3Dプリンター

3Dプリンターによって造形されたものが最終製品として利用者の手に届くケースは自動車業界でも増えている。
例えばBMWではプラグインハイブリッド(PHV)スポーツカー「i8ロードスター」に3Dプリンターによる出力品を使用している。電動でオープンするルーフ収納部(トノカバー)の開閉用部品をアルミニウム合金の3Dプリンターで製作している。当初はポリアミド系材料やマグネシウムダイカストでの製作を試みたが強度やコストの面で断念。3Dプリンターで製作することにより強度の向上と軽量化を実現した。

現行で量産されている車以外でも3Dプリンターで作られた部品が利用者の手に渡るケースは存在している。ポルシェではクラシックカーの希少パーツのように、すでに生産が終了し、メーカーでも在庫を保有していない部品の再製造に3Dプリンターを使用している。ポルシェでは、959のような希少な車種のパーツが入手不可能という現実を受け、クラッチリリースレバーを3Dプリンターで製造。圧力試験等の評価を踏まえ顧客への供給を開始した。

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自動車業界における3Dプリンター品の最終製品化は、さらに進む。フォルクスワーゲンでは2018年9月、3Dプリンターによる自動車部品を大量生産すると発表した。シフトレバーやエンブレムを皮切りに順次大きな部品の製造にも着手、将来的には年間10万台の自動車に3Dプリンターで製造した部品を搭載する計画だという。

また2015年にはアメリカで3Dプリントカー「ストラティ(Strati)」も発表されている。ストラティはそのパーツのほとんどが3Dプリンターで製造された電気自動車である。ボディーを成型するのに必要な時間はおよそ44時間。従来のような大きな工場で大量に作られる自動車のイメージを大きく覆す自動車になった。

日本における3Dプリンター製品の実用化

一方日本では、3Dプリンターで作られた部品の最終製品化は、まだあまり広くは行われていない。様々な理由があるが、主なものとしては下記のようなものが挙げられる。

最も大きな問題は、やはり生産量とコストのバランスになる。前述の通り、同品種を大量生産する場合には従来のような金型による成形のほうがコストを抑えることができる。そのため試作では3Dプリンターを使用するものの、量産には従来の製造方法を使用するケースが多い。

また材料の問題もある。3Dプリント出力用の材料は多くが海外製であり、日本の規格とは異なっていることが多い。そのため、難燃グレードや材料規格の承認を新たに取り直す必要があり、量産品として運用しにくいという面がある。

しかし、コペンやクーパーなど自動車の中では少量多品種が求められる車種では、主に内装品として実用化する計画が既に始まっている。

 

まとめ

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3Dプリンターの性能は日に日に向上しており、現在では高速化や高精度化など、高機能の3Dプリンターも多く出ている。またそれに伴い海外の主要な自動車メーカーでも3Dプリンターで造形した製品を最終部品をして使用する例が増えてきた。日本では量産化はまだ行われていないが、カスタマイズ品などを中心に顧客の手に渡る3Dプリント部品も増えていくだろう。

 

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